ミステリアスなユージーン
佐渡君が本当はSAグループの日本支社の最高責任者だから?

予定よりも一時間早い電車に乗り席に座った時、私は佐渡くんとの間に起こった数々の出来事を思い返した。

容姿はドストライク。でも最初は生意気でヤな奴だと思った。

頭が良くて無駄がなくて羨ましかった。

接するうちにぶっきらぼうだけど優しい人だと分かった。

そのうちに……離れたくなくなって……。

好きになって……。

その時、地下鉄から出た私の頬を新しい風が撫でた。

そういえば……佐渡君は私を好きだと言ってくれたけど……私の一体どこが良かったのだろう。

分からない。まるで分からない。

その時、ポケットの中でスマホが鳴った。

『ちょっと菜月、大丈夫?!さっき蒼白な顔で正面玄関抜けてったでしょ?!何かあったの?』

沙織からのLINEだった。

『佐渡君がSAグループの日本支社長だったの。私とは釣り合わないくらいの地位にいて……好きだって言われたのも嘘だったらどうしよう』

沙織にLINEの返信をして、私はハッキリと気付いた。

そうだ。私の胸の何とも表現しきれなかった気持ちは……これなんだ。

胸がぎゅっとして痛くて……それから怖くて仕方ない。
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