ミステリアスなユージーン
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私が佐渡君に連れてこられたのはSAグループの日本支社だった。

夕陽と街灯をキラキラと跳ね返すビルの外壁は正に近代的で、スタイリッシュなそのデザインは洗礼されていた。

きっとその施工方法にも最先端の技術がつまっているのだと思う。

車内から息を飲んでそのビルを見上げた私に、佐渡君が静かに口を開いた。

「地下から専用のエレベーターに乗れば最上階まではすぐです」

「……はい」

佐渡君がハンドルを切る度に、キュルキュルと独特のタイヤ音が地下駐車場に響く。

暫くの後、助手席のドアを開けた佐渡君が小さく言った。

「……こっちです」

「……はい」

ああ、どうしよう。

佐渡君の話を先に聞いた方がいいよね、絶対。

落ち着かなきゃ。

私は彼に気付かれないように深呼吸を繰り返した。


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エレベーターから出て通された部屋はとても美しかった。

黒を基調としたいかにも重役の部屋といった重苦しいものではなく、デスクも来客用のクラシックテーブルも上部は美しくカットされたクリスタル製で、部屋全体が明るかった。
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