ミステリアスなユージーン
バカじゃないの?なにも知らないクセに。

「っ……!」

そこまで考えた時にはもう、私の手は佐渡君のシャツを掴んで引き寄せていた。

それから首に片腕を回すと、彼の唇にキスをして抱き付く。

咄嗟に身を固くした佐渡君に、私は囁くように告げた。

「……さっきのあなたのキスは……下手すぎた。あなたがどうして私を家に連れてきたのか知らないけど、あんなキスじゃ欲情しない。じゃあね、ハイスペックな佐渡君」

ニヤッと笑って見せた後で踵を返そうとした時、物凄い早さで腕を引かれた。

アッと思った時には既に部屋に引きずり込まれていて、私は息をする間もなかった。

そんな私を見て佐渡君がフワリと笑った。

「煩い口を塞いだだけの行動をキスと呼ぶとは。幼いんですね。キスってこうですよ」

言うなり佐渡君が、私の後頭部を掴みながら唇を寄せた。

「さ、佐渡……」

「黙って」

低い声を出した佐渡君の瞳が一瞬甘く光り、再び端正な顔を傾けると、彼は私を玄関の壁に押し付けた。

私の口内に佐渡君の舌先が入り込む。

「……っ……」
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