ミステリアスなユージーン
「大きな声を出さないでください」

「やだーっ!バカッ!最低!!」

大きな手に口を塞がれたものの、拳を振り回す私に恐れをなしたのか、その人物は私から飛び退いた。

さ……佐渡君……だった。

だったけど……。

「なんのつもりよ、バカなんじゃないの?!」

驚きすぎて泣いてしまった私に、佐渡君は狼狽えて口を開いた。

「いやその、俺は」

心臓が激しく脈打ち、身体中が熱い。

「何でこんなとこにいるのよ!?ビックリして死にそうになったじゃん!」

ショックのあまり怒りが込み上げてきた私は、泣きながら佐渡君を睨んだ。

「驚かす気は、」

「大嫌い!佐渡君なんか大嫌い!驚かすなんてひどいよっ」

その時、グイッと腕を引かれた。

アッと思う間もなく佐渡君と身体が密着し、フワリと彼の香りに包まれて、私は眼を見開いた。

首筋に佐渡君の息がかかる。

「泣かすつもりはありませんでした。……大丈夫ですか」

そう言った彼の唇が頬に当たり、不覚にもそれを心地よく思う自分がいて……。

「っ……」

舌先が優しく頬に触れ、その後に唇だけが再び頬に押し付けられる。

なんで……?どうして?
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