ミステリアスなユージーン
なんで?どうして?

これ以上は無理というほど心臓が脈打つ。

痛みにも似た、甘くて切なくなるような胸の痺れ。

こんな事は多分、初めてだ。

こんな気持ちは。

その時、佐渡君がゆっくりと眼を開けた。

その漆黒の瞳に、一際鼓動が跳ねて息を飲む。

男らしい顔立ちと、筋肉の張った逞しい腕。

それに……私を心配して来てくれた事。仕事を手伝ってくれた事。

しかも、深夜に。

「ああ……おはようございます」

「お……はよう……」

「……」

「……」

しばらく見つめあった後、佐渡君が起き上がりながら私から離れた。

「……昨夜はあれから少し冷え込んできて……もしも岩本さんが風邪を引くと大変ですから。というのも、エアコンのリモコンが何処にあるのか見当たらなくて」

「あ……うん……」

私は身を起こすと、気付かれないように深呼吸をして立ち上がった。

「ありがとう、手伝ってもらって。お陰で凄く助かったよ」

「材料手配と施工業者も、過去の資料からピックアップしておきました」

マジで?

正直そこまでしてもらえるとは思っていなかった。
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