ミステリアスなユージーン
「うん」

「どうして施工業者にこちらが接待しなきゃならないんです?されるならともかく」

「そりゃあ……課長は色々と考えてるんじゃない? 徳永君と葉山君の案件、絶対行程通りに進めなきゃ後の二件がかなりキツいからちゃんとお願いしとかないといけないもの。キツい行程でやってもらうし、やっぱり労う気持ちや感謝の気持ちを現さないと次に繋がらないっていうか……そんな感じ?」

佐渡くんから視線をそらしてこう言うと、彼はあからさまに溜め息をついた。

なに!

「ちょっと!私、私情を挟むつもりなんてないんだからそういう態度やめてくれる?」

「あーそーですかー」

語尾を伸ばすなっ!

大袈裟な次は棒読みのような口調で佐渡くんはそう言うと、クルッと踵を返してコンピュータールームから出ていってしまった。

……なんなのよ。あんたに関係ないでしょうが。

それとも、課長と再びどうにかなりそうだと思うほど、私は頼りなくてイライラする存在なのだろうか。

…………。

優しいと思えばこれだ。

佐渡くんはほんとに分からない。

今度は私が大袈裟に溜め息をつくと、佐渡くんが消えていったドアを見つめた。

後に起こる出来事に、まるで気づかないまま。
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