ミステリアスなユージーン
∴☆∴☆∴☆∴
午後十時。
「菜月、少し飲み直さないか?」
施工業者である飯星工務店との接待兼打ち合わせが終了した後、課長がニコニコしながら私を見た。
すぐ傍の四車線道路を行き交う車は、まだ数が多く騒々しい。
「課長。私、徹夜だったんでもう無理です。眠くて……」
車のエンジン音にかき消されないように、かぶりを振りながら私は課長を見上げた。
もう、本当に眠い。
飯星さんに注がれた日本酒を数杯飲んだのが運のツキだった。
妙にそれが美味しくて、注がれるがままにガンガン飲んでしまった自分が完全に悪いんだけれども。
「……大丈夫か?じゃあ……送るよ」
こんな状態なのに、それはダメだと頭では分かっている。
だって、課長だってお酒を飲んでいるし……もしも俺様課長を拒めず、何か起きたら……。
その時、課長の胸ポケットでスマホが震えた。
「電話……出てください」
「……いや、いいんだ。気にするな」
課長はスマホの画面を見ながら僅かに眉を寄せて、再び胸ポケットにしまった。
「それより、いこう」
課長が私の腰に腕を回した。
それは実にスマートで、少し前の私ならただただ嬉しく思っていただろう。
午後十時。
「菜月、少し飲み直さないか?」
施工業者である飯星工務店との接待兼打ち合わせが終了した後、課長がニコニコしながら私を見た。
すぐ傍の四車線道路を行き交う車は、まだ数が多く騒々しい。
「課長。私、徹夜だったんでもう無理です。眠くて……」
車のエンジン音にかき消されないように、かぶりを振りながら私は課長を見上げた。
もう、本当に眠い。
飯星さんに注がれた日本酒を数杯飲んだのが運のツキだった。
妙にそれが美味しくて、注がれるがままにガンガン飲んでしまった自分が完全に悪いんだけれども。
「……大丈夫か?じゃあ……送るよ」
こんな状態なのに、それはダメだと頭では分かっている。
だって、課長だってお酒を飲んでいるし……もしも俺様課長を拒めず、何か起きたら……。
その時、課長の胸ポケットでスマホが震えた。
「電話……出てください」
「……いや、いいんだ。気にするな」
課長はスマホの画面を見ながら僅かに眉を寄せて、再び胸ポケットにしまった。
「それより、いこう」
課長が私の腰に腕を回した。
それは実にスマートで、少し前の私ならただただ嬉しく思っていただろう。