ミステリアスなユージーン
「……」

決まり悪くて眼をそらした私の態度が勘に障ったのか、彼は溜め息と共に続けた。

「どうせ注がれるがままに飲んでたんでしょう、ヘラヘラしながら。課長はあなたの事なんか本気で考えてないんですよ?!なのに、隙ばっかり作るから」

「……」

……その通りだ。私は……ヘラヘラしながら飲んでただけた。

だから隙が出て、課長にあんな風に……。

「……ごめん」

情けなくて情けなくて、佐渡君を見ていられない。

この歳になって、こんな風に助けてもらうなんて子供のようで悲しい。

「……」

ジワリと涙が浮かび上がって視界が滲んだ。

慌てて空いている手で拭ったけれど隠すことはできなくて、私は俯くことしか出来なかった。

「本当に……分からない人です、あなたは。気が強いクセに、こうやって俺の前ですぐ泣く」

「あ」

言い終えた佐渡君が、私に腕を回した。

「困った人です、あなたは」

端正な顔を少しだけ傾けて、至近距離からこちらを見下ろす彼の顔は本当に困っていた。
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