空と君とダイヤモンドと
「…若松くん」


「俺の名前勝手に呼ぶんじゃねーよ」



ふいっとあたしから顔を逸らす。


なんなの、この人。
ほんとに性格悪い。



━─カキーンッ



バッティングマシンから放たれたボールがバットにあたり、レフトスタンドに入って行った。



「さっすが塁さん」



鷺沼さんをみてニコニコの若松くん。



「かっこいいね。鷺沼さん。有言実行」


「お前とは共感したくねぇ」



あたしから少し離れる。


なんなのよ。あの人。
あたしまだそんな話したこともないから嫌われるようなことしていないはずなのに。



「若松くん、あたしなにかした?」


「は?」



怪訝な顔になる。



「そんな風に言われる覚えないんだけど」


「知るか。つーかマネージャーなんてどうせ選手目当てだろ?」



若松くんがニヤリと笑う。


…ムカつく。


人のこと知りもしないで。
あたしがどんだけ努力してここに入ってきたかも知らないくせに。


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