空と君とダイヤモンドと
「諦めなくてよかった」



向かいからあたしの手を握る。



「ありがとね」



ほかの人と一緒にいるワカなんて想像したくないから。
あたしが一緒にいれることに幸せが広がる。



「ありがとうはこっちだよ。俺と一緒にいてくれてありがとう」


「ふふ。ワカとは二年連続でお正月一緒にいることになりそうだね」


「そう、だな」



ワカが少し寂しそうな顔になった。



「実家に帰るとかあった?」



当然ワカもこっちに一緒にいるものだと思ったから。
ワカが帰るならあたしも帰ろうかと考える。



「ん?帰らないよ」



さっきの顔とは変わって柔らかい笑顔になった。
だからさっきのは気のせいかと思った。

知らなかったんだ。
ワカが何を考えていたかなんて。

続けていくことの難しさをあたしはしらなかった。
今日がその日だなんて、気づいてもいなかった。
楽しくて幸せで。
これがずっと続くものだと思い込んでた。

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