空と君とダイヤモンドと
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「え…」



ワカの去っていったほうをただ見つめる。



「こんなことされたら…」



忘れられないじゃん。



「どうしたの?」



お茶の入ったグラスを両手に持って塁くんが部屋に入ってくる。



「ワカが…」


「ワカ?」


「いま来て…」


「え?ここに?」



塁くんがきょとんとした顔になる。



「これくれて、抱きしめられました」


「人の部屋で」



塁くんがふっと笑う。



「塁さんに幸せにしてもらえって」


「あいつ…」



塁くんだってこんなこと言われても迷惑なだけなのに。
そのままいってしまうあたしはずるいのかもしれない。
塁くんがあたしを放っておけないのがわかってるから。



「何いってんだろうね…」


「幸せにしてあげたいよ。瑛梨奈ちゃんのこと」



塁くんの真っ直ぐな瞳があたしをとらえる。
あの時はもらえなかったこの瞳とこの言葉が
いまはあたしの目の前にある。

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