空と君とダイヤモンドと
「俺の部屋行こうか」

「うん…」



塁くんに腕を引かれるままついて行く。



ちらっと振り向くとワカは〝ごめん〟というような表情をしていた。
ワカは何も悪くないのに。



「塁、くん…」


「ん?」


「なんか怒ってる?」



無言でズンズン歩いていく塁くんにいつもの様子が感じられない。



「まぁね」



そう塁くんが返事したと同時に塁くんの部屋のドアが開けられ、〝どうぞ〟と部屋に押し込まれる。



「…なんで怒ってるの?」


「ワカと二人でいたから」


「ただの看病だよ…」



塁くんに勘違いされるようなことは、なかったはずだ。
〝キスしたいな〟と思ったこととか
〝キスしたい〟と言われたこととか
その辺は全部実際はしてはいないのだから。



「それ」


塁くんがあたしの首元に触れる。



「これ?」


「ワカにもらったんでしょ?」


「え?」


「さっき聞こえた」



首元のネックレスを触ったまま答える。

< 257 / 533 >

この作品をシェア

pagetop