金木犀の季節に
シャツ越しに、奏汰さんの体温が伝わる。
こんな天気も気にならないくらい、ドキドキした。
今までにも数人の男の子と付き合ったことがあったけど、こんなに胸がきゅん、として呼吸をするのさえ、ためらうような思いは感じたことがない。
これが、初恋だったら良かったのに。
この何番目かもわからない恋は、今までで一番ーーーーいや、これからも一番大切で、短くて、忘れられない恋になる。
もしも、奏汰さんと私が同じ時代に生まれていたとしたら、ずっとそばにいられたのかな。
付き合ったり、できたのかな。
もうすぐ終わる恋だって、分かっているのに。
心が、一秒一秒ときめいて、奏汰さんでいっぱいになってしまう。
きっと、奏汰さんも私のことが好きになってる。
もちろん、私は奏汰さんに引き返せないくらい落ちてしまった。
恋は、お互いの思いが通じたら、叶うと信じてたのに。
それなのに、叶わない。
言葉に表せないような悔しさと、愛しさが、私の胸の中にマーブル模様を作った。
好きです、奏汰さんーーーー。