【完】蜂蜜色のヒーロー。
歩き出した御津くんは、やるせなさそうにしながら、私の手を引っ張った。
「とりあえず、行こう」
「あ、御津くん!」
「……なに」
「さっきはありがとう。すごくカッコよかったよ」
でも……どういうことなんだろう。
御津路惟、って名前を聞いただけで、あんなに慌てて逃げていくなんて。
私が知らないだけで、御津くんにはなにか大きな過去があるの……?
それも、見知らぬ男のひとたちが慌てふためくような、過去が───?
*
まず最初に連れてこられた場所は、映画館だった。
てっきり、アクション映画が好きだと言っていたから、今公開中の海外の話題の映画を観ると思っていた私は、予約していた映画名に驚いた。