【完】蜂蜜色のヒーロー。


歩き出した御津くんは、やるせなさそうにしながら、私の手を引っ張った。



「とりあえず、行こう」


「あ、御津くん!」


「……なに」


「さっきはありがとう。すごくカッコよかったよ」



でも……どういうことなんだろう。


御津路惟、って名前を聞いただけで、あんなに慌てて逃げていくなんて。



私が知らないだけで、御津くんにはなにか大きな過去があるの……?


それも、見知らぬ男のひとたちが慌てふためくような、過去が───?







まず最初に連れてこられた場所は、映画館だった。


てっきり、アクション映画が好きだと言っていたから、今公開中の海外の話題の映画を観ると思っていた私は、予約していた映画名に驚いた。

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