【完】蜂蜜色のヒーロー。





「……妃莉!!」


教室に響く声は久しぶりに私の名前を呼んで、その声は息が切れていた。



手にはちゃんと靴箱に入れておいたふたつのものが握られていて、手紙を見たんだなぁ、とのんびり思った。


って……!



「み、御津くん!? 放課後にって……!」


「待てねえっつーの。これ以上待たせたら、いいほうに期待するけど」


「わ、……でも!!」



ぐいっと手を引かれて、クラスメイトにからかわれる中、私は御津くんと屋上まで走った。



御津くんはものすごく軽々と走るけど、運動音痴な私は息も絶え絶えで、苦しくて。



「み……と、くん…!」


「……なんだよ」


「は、速いよ……っ」


「速くねえよ」



屋上のドアが、ギイと音を立てて開いて、ふわりと風が鳴いた。

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