冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~
いくつかの点が繋がった感覚があった。
ヴィンターハルター家のこと。クラウスのこと。そして、ルーシャのこと。

クラウスの出生の事情。
親族と断絶している理由。
クラウスとルーシャの関係。

そして少しだけーーークラウスに近づいた気がした。

彼は、銀のスプーンをくわえて生まれてきた侯爵家の令息ではなかった。

クラウスの現在の地位は、ひいては生は、与えられたものではない。
彼が自分の手で掴みとってきたものだ。

ーーー安逸な死など与えてやらん

クラウスの言葉が蘇る。
だからこそ彼は、軽々に死を望んだ自分を許せなかったのかもしれない。

ーーーお前を縛りつけてやる、この残酷な世界にな

クラウスは生き抜いてきたのだ。この残酷な世界を。

クラウス様・・・
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