冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~
だいじな人形を台無しにされてしまったの、と少女は紫の瞳をうるませて腕に抱いているものを見せた。
こちらの目には、汚れた布のかたまりにしか見えなかったが、どうやら少女にとっては大切なものらしい。
人形なら自分のものをあげようかと、ルーシャは申し出た。
どうせ部屋の中には箱に入ったままの人形が山積みになっているのだ。
少女はきっぱりとかぶりを振った。
「ちがうの、リリアでないとダメなの。お母さまがわたしそっくりに作ってくれた人形なの」
どうやらリリアというのがこのボロ布の名前らしい。しげしげと見てみれば、髪の毛の残骸とおぼしき毛糸がからまっている。
となれば、リリアを元に戻してあげればいいのだろうか。メイドのアナベルは裁縫が得意だと、ルーシャはすばやく頭をめぐらせる。
「直してあげるから、貸してちょうだい」
半信半疑、といった表情で少女がリリアを差し出した。
こちらの目には、汚れた布のかたまりにしか見えなかったが、どうやら少女にとっては大切なものらしい。
人形なら自分のものをあげようかと、ルーシャは申し出た。
どうせ部屋の中には箱に入ったままの人形が山積みになっているのだ。
少女はきっぱりとかぶりを振った。
「ちがうの、リリアでないとダメなの。お母さまがわたしそっくりに作ってくれた人形なの」
どうやらリリアというのがこのボロ布の名前らしい。しげしげと見てみれば、髪の毛の残骸とおぼしき毛糸がからまっている。
となれば、リリアを元に戻してあげればいいのだろうか。メイドのアナベルは裁縫が得意だと、ルーシャはすばやく頭をめぐらせる。
「直してあげるから、貸してちょうだい」
半信半疑、といった表情で少女がリリアを差し出した。