冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~
最初はちょっと外に出て、農場のガチョウの群れやら、のんびり草を食む牛をながめて満足して戻ってくるだけだったが、日を追うにつれて大胆になった。
しまいに生垣の中で、 “変身” することを思いついた。
わずらわしいサンボンネットを取り、ピンで留めてあるカツラを外す。ビラビラと足首までかぶさるドレスを脱いで、シャツとズボンの下着だけの格好になる。
さすがに下着は男の子のものを、アナベルが縫って着せてくれていた。
靴は仕方がないので、雨の日用の黒いゴム長靴を履いた。ボサボサの赤髪に簡素な格好をした少年の姿になる。
農場から川に沿って、林の中にも足を踏み入れるようになった。
林の奥には、盗賊団を真似る不良少年たちがうろついているという噂は聞いていた。
話に違わず、ルーシャことクラウスは一度ならず彼らに出くわした。
がしかし、クラウスは口のきけないどこかの農場のガキとしか思われず、標的にされることはなかった。
女の子のしゃべり方しか知らないクラウスは、黙っていることしかできなかったのだが。
少年たちには耳が聞こえないように見えたようだ。
しまいに生垣の中で、 “変身” することを思いついた。
わずらわしいサンボンネットを取り、ピンで留めてあるカツラを外す。ビラビラと足首までかぶさるドレスを脱いで、シャツとズボンの下着だけの格好になる。
さすがに下着は男の子のものを、アナベルが縫って着せてくれていた。
靴は仕方がないので、雨の日用の黒いゴム長靴を履いた。ボサボサの赤髪に簡素な格好をした少年の姿になる。
農場から川に沿って、林の中にも足を踏み入れるようになった。
林の奥には、盗賊団を真似る不良少年たちがうろついているという噂は聞いていた。
話に違わず、ルーシャことクラウスは一度ならず彼らに出くわした。
がしかし、クラウスは口のきけないどこかの農場のガキとしか思われず、標的にされることはなかった。
女の子のしゃべり方しか知らないクラウスは、黙っていることしかできなかったのだが。
少年たちには耳が聞こえないように見えたようだ。