冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~
「あれ?」
追いついた少年たちは、そこにいるのがドレスの少女ではなく、赤髪の少年であることに気づいて、拍子抜けした声を出した。
「なんだお前か」つまらなそうに、肩を小突く。
自分の心臓の鼓動が聞こえるのではないかと心配になるほどだったが、クラウスは無表情でやりすごした。
「おかしいな」
「どこに逃げたんだ」
ぼやきながら、彼らが去ってゆく。
はやる鼓動が収まるのを待って、クラウスはひとり屋敷へ戻った。
下着姿に裸足で帰ってきたクラウスに、当然ながら母とメイドたちは仰天した。
クラウスはひどく落ち着いた声で「わたし、もう女の子の格好はしない」と告げた。
「だってわたし、男の子だから」
皮肉なことに、無害だと思われた少女の存在によって、クラウスは本来の性別に目覚めてしまった。
結果、衝撃に母はその場で卒倒してしまい、メイドたちが慌てふためいて介抱にかけ寄り、という一幕が繰り広げられることになったわけだが。
追いついた少年たちは、そこにいるのがドレスの少女ではなく、赤髪の少年であることに気づいて、拍子抜けした声を出した。
「なんだお前か」つまらなそうに、肩を小突く。
自分の心臓の鼓動が聞こえるのではないかと心配になるほどだったが、クラウスは無表情でやりすごした。
「おかしいな」
「どこに逃げたんだ」
ぼやきながら、彼らが去ってゆく。
はやる鼓動が収まるのを待って、クラウスはひとり屋敷へ戻った。
下着姿に裸足で帰ってきたクラウスに、当然ながら母とメイドたちは仰天した。
クラウスはひどく落ち着いた声で「わたし、もう女の子の格好はしない」と告げた。
「だってわたし、男の子だから」
皮肉なことに、無害だと思われた少女の存在によって、クラウスは本来の性別に目覚めてしまった。
結果、衝撃に母はその場で卒倒してしまい、メイドたちが慌てふためいて介抱にかけ寄り、という一幕が繰り広げられることになったわけだが。