冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~
炉の扉が閉められるのを見ていられず、フロイラは身を翻した。

止めなければ、あそこへ———

が、クラウスに強い力で腕を掴まれ引き止められる。

「放してくださいっ」
振りほどこうと、身をもがく。

拘束は解けることはなく、逆に身体に腕を回され、彼の腕の中に閉じ込められる。

「放してっ! 放してぇーーー!」
泣き叫び、こぶしで彼の胸を叩く。淑女としての慎みなどどこかへ消え去った。

「無駄だ、もう燃えてる」

クラウスの声が、どこまでも残酷に冷ややかに届く。

「イヤーーーーーーッ!!」

泣き崩れようにも、彼の腕の中ではそれも叶わない。
どころか、背や頭の後ろをしっかり押さえられ、不本意ながら彼の胸に顔をうずめて泣いている格好だ。

「・・はな・・して」

涙まじりの願いは、受け入れられることはなかった。
< 31 / 273 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop