冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~
「古い物を捨てて、新しくうつくしく上等なものを与えられたら、有頂天になって喜ぶのが使用人だ。結婚で生活苦から逃れられるなら、一も二もなく飛びつくさ。
だが、お前は違う」


彼の口から放たれる言葉の一つ一つが、棘のついた鞭のように、フロイラの皮膚を打ち、肉に食い込み、鮮血がしたたるような痛みをおぼえる。


「痩せても枯れても、お前は貴族の娘だ。それを自覚しろ。
必要なものは用意してやる」


クラウスが部屋を去り、後にはただうなだれるフロイラが残される。
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