冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~
死体に群がり肉をあさるハゲワシのようだ。
よってたかって家財を奪い取った親戚連中は、フロイラまでも金銭に替えようと画策した。

爵位を持つうら若く美しい令嬢。求婚の申し出は、両手の指では足りないほどだったようだ。
まるで競りにかけるように、その中から最も高額な “債務への保証” を積んだ男とフロイラを結婚させようとした。

厭うて死を選ぶとは、彼らにとって計算外だっただろうが。

「おとなしい娘に見えて、意外と強情だからな」

「フロイラ嬢にこの話をお伝えしますか?」

「いや必要ない」
あっさり告げる。

フロイラを無駄に傷つけたくはないーーーそんな気遣いでは、むろんない。

親戚のことなど、もはやどうでもよい。

「あいつは俺のことだけ考えていればいい」
とひとりごちる。

「報告ご苦労。お前も下がっていい」
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