お見合い相手は冷血上司!?
 オフィスに戻ると、課長の姿はない。

 本当に一人会議室にこもって仕事をしているんだろうか? あの熱じゃ、一人で倒れてなければいいけど……。

 想像して、思わず血の気が引いた。

「平田くん、課長どこに行ったの?」

「あぁ、課長ですか? なんか集中してやりたい作業があるから会議室にいるって言って出ていきましたよ」

「……そう。ありがとう」

 誰も特に気に止めてもいない様子を見て、課長の様子はいつも通りだったのだろう。
 ……意識も朦朧としていそうなほど熱があるはずなのに。
 かくいう私も、休憩所で会うまでは全く気が付かなかったのだけれど。

 あとで、お茶でも持っていこう。

 私に出来るのはそれぐらいのことしかなくて、心がかりに何度も手を止めさせられながらも、自分の仕事を進めた。
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