お見合い相手は冷血上司!?
「分かった今日は帰る。だからお前も、早く出ていけ」

 ノートパソコンを閉じた彼は、並べていた資料をファイルに仕舞っていく。
 ほっとひと安心して、私も安堵の胸を撫で下ろした。

「……ったく。お前今日はやけに押しが強いな。普段は、言えと言っても言わないくせに」

「当たり前です。そりゃ仕事も大切ですけど……自分の身体もちゃんと大事にしてあげてください」

 すると、しばらくしてクスリと笑った課長は、カバンを手に取るとようやく素直に会議室から出る。
 ビルを出て、冷たい夜風が首筋を撫でると、彼は気持ち良さそうに顔を綻ばせた。

「帰ったら、少しでも何か食べてくださいね。お買い物は出来そうですか?」

「あぁ、大丈夫だ」

 ぶっきらぼうに返す彼は、夜風のおかげか、幾分顔色が良くなったように見える。
< 126 / 195 >

この作品をシェア

pagetop