お見合い相手は冷血上司!?


『たいへん長らくお待たせ致しました。ただいまより、ご新郎ご新婦様のご入場です。今一度、盛大な拍手をよろしくお願い申し上げます。本日は、誠におめでとうございます』

 流行りのウェディングソングが流れる中を、純白のドレスに身を包んだ花嫁は、一体どんな気持ちで歩くのだろうと思っていた。

 きっと、緊張、感動、寂しさ、期待、数々の感情が入り混じった道を、一歩ずつ、噛み締めるように歩いていくのだと思っていた。

「おめでとう!」

「おめでとう。本当に綺麗」

「美しい……! 写真撮ってもいい?」

 この日だけはどんな女性も主役で、激賛の言葉を浴びながら、世界一幸せな顔をする。

 そう思っていた。

「桃ってば、しっかりしなさいよ!」

「もうダメ。コルセットがギュウギュウに締め付けてて、死んじゃいそう」

 情けない格好の花嫁が、トイレで白目を剥いている。
 ドレスが汚れないよう持ち上げる為についてきたはいいけれど、彼女は既に酸欠状態だ。
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