お見合い相手は冷血上司!?
 あの日のように、春独特の生暖かい風が私の首筋を撫でる。

 青々しい芝の上には、やはり何本ものバラのアーチが構えていた。
 一本、また一本、と潜る度に、湿った青の匂いと、濃厚な花の香りが漂う。

 懐かしさに胸が焦がれて、思わず立ち止まりそうになったのを慌てて潜った。

『女性のみなさまは、どうぞ前へ』

 遠慮気味に、でも内心は我先にと思っているのだろうか、並んでいるみんなが、後ろを向いた桃の綺麗な背中を見つめている。

「せーのっ!」

 純白の手袋から離れたブーケは、宙を舞い、散る花びらが蝶々のように見えた。
 その様が綺麗で、ジッと見つめていると、それは私視界でどんどん大きくなる。

「亜子! 危ない!」

 桃の声で意識を覚醒させて、慌てて両手を上げたけれど、ブーケは見事に私の顔に命中した。
 バルコニーの上で大笑いする桃に釣られたように、みんなが笑い出す。
 恥ずかしくて、受け取ったブーケで顔を覆った。
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