お見合い相手は冷血上司!?
 ブーケは誰かの革靴に当たって、ようやく止まる。
 ほっと胸を撫で下ろして手を伸ばすけれど、私の手よりも先に、その人がブーケを拾い上げた。
 空を切った手から、スーツの足、その人の顔へとゆっくり視線を辿っていく。



「ブーケ。何だ、先約ありか?」

 淡く、低い声がして、私は跳ね上がるように勢いよく顔を上げた。
 すると目の前に現れた男性に、私は心臓と呼吸が同時に止まったような衝撃を受ける。

 そして次の瞬間、激しい愛情が胸いっぱいに溢れた。

「……久しぶりだな、鈴原」

 そこに立っていたのは、切れ長の目をすっと細めて、薄笑みを浮かべている――課長だった。
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