お見合い相手は冷血上司!?
「亜子、悪いがお前に拒否権はない。なんてったって、相手はあの相馬会長だからな! お見合いがどうしても嫌でも、とにかくご子息には会ってもらうからな! 父さんを……路頭に迷わせたくはないだろう!?」

 これが切り札だとでも言いたいのか。父は少年のように歯を見せて、とびきりの笑顔を浮かべてくる。
 ……そう言われると逆らえないのを最初から分かっていたんだと思うと、腹立たしさは何倍にも増した。

 もう、空になったコーヒーカップで殴ってしまおうか。

「わかったわよ! その我が儘男に、直接会ってお断りすればいいんでしょ!?」

 私のヤケクソの回答を聞いた父は、高くガッツポーズを掲げると、夜中だというのに万歳三唱を繰り返した。
 コーヒーカップを強く握り締めた瞬間にカップを下げに来た母は、きっと私の心の中を読んでいたに違いない。
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