お見合い相手は冷血上司!?
 課長から花の話を聞く日が来るなんて、思いもしなかった。

 会社の外で会っているからだろうか?
 こんな偶然に見舞われたからだろうか?

 いつもより表情があるように見える彼を、初めて人のように感じたと言えば、またいつものように怒られるに違いない。

 絵本の中の世界にも似た場所を歩いているせいもあってか、隣に課長がいる今が、まるで夢の中のように感じられた。

「お前は、今日どうしてここに来た?」

「あの、えっと……その」

「なんだ。ハッキリしろ」

 じわりと浮かぶ黒瀬川を見て、早くも背中を冷たい息吹が襲う。

「ち、父に、どうしてもと連れてこられたんです! 写真は見ていなくて、相手が課長だっていうことは……今日課長の姿を見た時に初めて知りました!」

 勢いに任せて言ったけれど、とてもじゃないが課長の顔を見ることが出来ずに固く目を閉じた。
 
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