お見合い相手は冷血上司!?
「……な、何を言ってるんですか?」

 冗談には、タイミングというものがある。
 それを誤ったものは冗談にはならなくて、場合によっては恐怖すら与えてしまうということを、彼は知らないのだろうか?

 まぁ課長の冗談なんて、いつのタイミングでも恐ろしくて笑えないような気もするけれど。

 固く強ばった私の顔を見つめていた彼は、不機嫌そうに片方の眉を吊り上げた。

「何って、お前にはこれがプロポーズ以外の何に聞こえるんだ?」

 誰が、誰に……ぷろぽぉず?
 女性にとって本来宝石のように輝くその単語が、今は脳天に華麗な一撃を食らわせる。

 もはや、暴れる気力さえも奪われてしまった。
 それを分かっているのか、彼は拘束していた腕を解く。しかし私の心臓は、未だ破裂しそうな勢いでばくばくと脈打っていた。
 
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