お見合い相手は冷血上司!?
 チラリと課長を見ると、彼は眉間に深いシワを刻んだまま、不思議そうに商品を手に取っている。
 背の高い彼は居心地が悪そうに背中を丸めていて、そのミスマッチな光景に、思わず笑みが零れた。

「あ、これ……」

 ふと目に止まったのは、マグカップのように取っ手がついた瓶。中には、ラベンダーやバラなど色とりどりのお花が詰め込まれていて、瓶にはリボンがあしらわれている。

「……ブレンドポプリ?」

 まるで、小さなお花畑だ。
 手に取ると、既に瓶の隙間から、ふわりと芳醇な香りが漂っている。

 それをもう一つ手に取った私は、お会計を済ませて課長の姿を探した。
 しかし、見渡せるほどの店内を何度見つめても、彼の姿はない。

「スーツの彼なら、さっき出ていったよ」

 お会計をしてくれた年配の女性が、扉を指差し微笑んでくれた。お礼を言って、私も慌てて追いかける。
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