お見合い相手は冷血上司!?
ホテルにチェックインをして着替えを済ませると、ようやくほっと息をつく。
視察が目的だったので、早くも今日の仕事は終わってしまった。ふと時計を見ると、時刻はまだ二時を回ったところ。
お昼、食べ損ねてしまった。どうしよう。
それまで何ともなかったお腹が、突然唸るような声を上げた。
すると窓に、ピタ、ピタ、と雨粒が当たる音が響く。
カーテンを開けると、景色は先ほどまでとは一変、灰色の雨雲が空を覆い、遠くの方では雷鳴が今にも激しい声を上げそうだ。
外には、出られそうにないな。
小さく息をつき、サイドテーブルに置いた紙袋を手に、ベッドへと腰掛けた。
金のシールを丁寧に剥がし、そっと中を覗く。
「あっ……可愛い」
中に入っていたのは、ラベンダー色をしたバスカプセルだった。
ゴルフボールほどの大きさのカプセルが、十個透明のケースの中に並んでいる。
安息が来た、なんて、思わず口元が綻んだ。