浅葱色の記憶

山崎烝

サクタに着物着せたとき

女かもって、副長に報告したら

なにか、思い当たることがありそうやった



「しっかり邪魔しやがって」

「すんまへん」



副長が、サクタを口説いているところ
あまりにも衝撃受けたもんで
天井から落ちたのだ


サクタは、慌てて逃げて行き

今、不機嫌な副長の前に、正座している




「副長… その… すんまへん」

「謝る必要はねえよ
そういう仕事を頼んだのは、俺だ
止めてくれて、感謝するべきだな」


苦笑いしかない


「サクタ… どないします?」


「さあな… 素直に、話してくれるとは
考えにくいな
山崎… 任せていいか?」


「努力します」


「……」


無言で、見つめられる

なんやねん!


「お前は、違和感ねえのか?」


「は?」


「サクタ ずっと前からここにいたと
確かに言った
あの畑も恐らくあいつが作ったんだろう
記憶がなくてもわかるんだ
俺は、ずっとあいつに惚れてた」


「惚れてたからちゃいます?
特に違和感というか…
なんや、おるのが普通な気がする」


「だから、それが違和感だ」




なるほど…




「気をつけて見ておきます」








部屋へ戻ると、サクタが挙動不審にしてて
吹き出した


「アホか、子供やないねんで?
永倉組長の次は、副長に口説かれて
大変やなぁ~って、くらいや」


「いつから見てたんですか?」


「抱きしめられて、ずっと前からこうしたかったとか言ってたとこ」


「/////そうですか」


「んで? どうすんねや?」


「どうするとは?」


「気づいてないと思ってんのか?
女やって、公表するんか?」


「やっぱり気づいた?」


「着付けしてるからな
それに、副長は確信してるで?
俺らの記憶に残ってないけど
ここにいたんやろ?」


「……覚えてないだろうけど
山崎さんには、いつもこういう時に
助けて貰ってた
狼追い払ってくれたし…」


「狼?」


「そう……あの時、本当は
すごく嬉しかったのに
素直になれなくて、冷たくして
なのに、私をここに連れて帰ってくれて
土方さんに、頼んでくれた
私を女中にしてくれって」


「俺…良い奴やん」


「うん!こんな話しても困るでしょ?」


「いや、面白い!
皆にも聞かせてやったらええわ!!」








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