私たちの、歪な関係
「あ、ねーねーおねーさんここの学校の人?」
少し困っていると、大学生だろうか…長身の二人組の男の人に声をかけられる。
「え、はい…そうですけど…」
「あのさー、校内案内してくれない?
俺ら全くわからなくて、食べ物とか奢るからさ」
「えっと……」
今はちょっと忙しいんだけどなぁ
「いこいこ!」
するとあっという間に2人に隣を囲まれて肩を組まれてしまった。
「わっ」
そして私の背中を押すように歩き始めた。
こまったなぁ…
「あの、私いま忙しいんですよ……」
「いーじゃんいーじゃん!」
「おねーさんのクラス何やってるのー?」
「コスプレ写真館ですけど…」
「じゃ、そこ行こうよ!どこなの?」
「……」
……いい加減にして欲しい。
私はふたりに気付かれないようにため息をつくと隼の姿を探すように当たりを見渡す。
あっ!
隼!
人混みの奥に隼を見つけると丁度隼もこっちを向いていて目が合った。
隼は私を見るとこちらへ真っ直ぐに向かってきた。
「優衣っ!」
「え?なにあの男」
「しらね。いこー」
隼が目の前に来る。
だけど私の隣にいる男の人はそのまま進もうとする。
「や、やめてよ…」
私はそれを阻止しようと体をよじる。
痛い…
いつの間にか手を掴まれてて、すごい力…
「離せよ」
すると耳に入る、低い声。
…隼の声?
「あ?」
「なに?」
痛い……
「離せっていってんの。
迷惑。これパンフレットです、どーぞこれ見てまわってください」
やっぱりさっきの低い声は隼で。
その声のまま隼はそう言って彼らにパンフレットを押しつけると、私を掴んでいる手を離して私の手をぐいっと引っ張った。
「ちっ」
「いこーぜ。シラケたー」
二人組の男の人はそう言って学校から出ていった。
少し人だかりが出来ていて、私たちと一歩離れてみんながいる。
「こっち」
それをみた隼はその場を離れるように私の手をそのまま引っ張って走り出した。
私も必然的に走り始める。