私たちの、歪な関係

















「はーやとっ」


英語の授業の前の休み時間。


私は隼に英語の教科書を借りに来た。


やっぱり人だかりができていて、その理由は白木さんで。


「あ、優衣ちゃん」

「今日もかわいい…」


運動部の子たちがいういつもの言葉。


「あははっ、そんなことないから!
ねぇ隼いる?」


それに愛想笑いで返す。


そう、私はこれでいいの。


自分に言い聞かせるように。


「隼なら、楓ちゃんといるよ?」

「楓ちゃん、かわいいよなぁ。あんな後輩俺も欲しい」


「ちっさくて守ってあげたくなる感じな」


「あー!わかるそれ」



運動部の子たちが盛り上がって話す。


………そう。



「あっ!優衣ちゃんもかわいいからね!?」

「そうそう!俺らの学年は優衣ちゃんがいるからこそ輝いてるってゆーか!」


「な、お前もそう思うだろ?」


「お、おう!」


私がみんなの話を聞いていたら、みんなが慌ててそう言う。


「別に私は……それに白木さんかわいいよね」


私は笑ってそれだけ言うと白木さんといる隼の元へ向かおうとした…ら、



「あ、優衣ちゃんやっほー」


駿くんが後ろから私の首に手を回してきた。



「ちょ、駿くん!?」


つまり、肩を組むといった形。


「みんなー、優衣ちゃん虐めないでね?
俺が怒っちゃーう」


………なんともゆるい口調。



「別にいじめてなんかねーよ!」

「そうだぜ駿、ただ楓ちゃんの話を…」


「楓ねぇ…」



駿くんがそうポツリと言ったのは、私の耳にしか入らなかった。




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