私たちの、歪な関係
「優衣ちゃん、どうしたの?
あと3分で授業始まっちゃうよ?」
パッと駿くんはこちらに顔を向ける。
「あ…英語の教科書忘れて隼に……」
借りようと思ったんだけど……
隼のそばに白木さんがいて。
白木さんが隼から私を視界に入らないようになっているからか、隼は私に気づかない。
「英語?あ~、じゃあ俺の貸してあげる
行こ」
私がじっと隼と白木さんを見ていたら駿くんはそう言って私の肩を組んだまま廊下に出て自分のロッカーの中から英語の教科書を取り出して渡してくれた。
「はい」
「ありがとう…」
綺麗な教科書。
…ちゃんと使ってるのかな?
「いいえ、あー優衣ちゃん」
駿くんの声に私は顔を上げる。
「今日、一緒に帰らない?」
「え…」
「別に特別な理由はないよ。
ただ、俺が暇なだけ」
駿くんの笑顔は人懐っこいな……
「いいよ……」
「ほんと?じゃあ放課後優衣ちゃんのクラス行くね。
教科書もその時でいいよ」
「…ん、わかった」
「じゃあね」
「うん」
私は駿くんに頭を撫でられると、身を翻して教室へ戻った。
……流されてしまった。