僕と家族と逃げ込み家
上辺がどうだとしても、根底にある人の無意識は大体同じだと思う。
汚れ無きピュアな魂に心惹かれるものだ……と思う。

僕だってこう見えて子犬や赤ちゃんには弱い。

美山は誰よりも美しい魂を持っていると思う。たとえ彼がトランスジェンダーだとしても、美山は真に女神だ。

だから、彼を異質の者とは思わない。しかし、世間の多くが自分と違うところがあると、その人間を障害のある者と決め付け排除したがる。

二胡のこともそうだ。

そりゃあ、人に寄ってはそのカテゴリーに守られて平穏に暮らしている人もいるだろう。だが、一方でそれに苦しめられる人もいる。

美山は後者だ。だから美山はそのことを……公にはカミングアウトしないと言った。

何が善で何が悪なのかは分からない。ただ、理想論を言えば……本来、人間は皆平等だ。そうあって欲しいと思う。

まぁ、そうじゃない世の中だから、悲惨な出来事が後を絶たないのだろうが……。

ただ最近は、『障害』を『個性』と呼ぶ傾向にある。
個性なら分かる。誰もが持っているものだからだ。

僕の周りも、僕を含めて個性溢れる人ばかりだ。
母も叔父もトヨ子ちゃんも……。

僕は、自分と感覚の違う持ち主が好きだ。
刺激になるし学びにもなる。第一、一緒にいて楽しい!

そういう人たちを忌み嫌う人もいる……それは個人の自由だから致し方ない。

ただ、それを虐めという形で表現する奴は最低だと思う。そして、それを傍観する奴等も同罪だ。

多種多様の思いが溢れる世の中で、信じる正義は皆違うだろう。
『善』と『悪』表裏一体だ。

そんな中で、真の善を見抜き一人正義を貫くのは容易くない。
なぜなら、基本、人間は弱い生き物だからだ。

だから、孤独を嫌い、友情を築こうとしたり恋をして家族を作りたいと思ったりするのだろう……。
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