僕と家族と逃げ込み家
本気ねぇ……結局、そうだよな。でも、今回ばかりはブチ当たったら砕け散りそうだ。二胡は手強い!

「ありがとう」と一応礼を述べ、「じゃ、次、いってみようか」と問題を指差す。

さっきまで偉そうにしていた恵が、途端に前屈みになり無口になる。
こいつは数学を前に玉砕か。ご愁傷様。

――などと冗談を言っている暇はない。
どうするんだ? 受験まで、あと半年程だぞ。

本当、次から次へと難題が降りかかる。僕にどうしろと言うのだ。

しょぼくれた恵を見ながら心の中で頭を掻きむしる。
しかし、このままではいけない。打開案を模索せねば!

「なぁ、恵。いつまでも隠していないで志望校を言え。どこだ?」

口をへの字にしたまま恵が上目使いで僕を見る。

「言いたくない!」
「お前なぁ、本気で受かる気あるのか?」

呆れるやら腹が立つやらだ。

「言わないと対策が立てられないじゃないか」

「だって……」と言いながら恵は目を伏せる。

「言ったら、春太は反対にするもん!」
「そんなの、言わなきゃ分からないだろ?」

「でも……」と口の中でブチブチ文句を言いながら、ゆっくりとした手つきで僕を指差す。
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