僕と家族と逃げ込み家
幸助は母親の弁当を褒められて嬉しくてしょうがないようだ。

「健太、これも美味いぞ」

サバのカレームニエルを指差す。

「うん、ありがとう！」と言いながらも魚嫌いの健太は恐る恐る口に入れる……が、その途端、パッと笑顔になる。

「本当だ！　全然サバ臭くない。すっごく美味しい！」
「だろ？」

幸助も笑顔になる。

「何これ、ピーマンとツナって合うのね。マヨネーズとチーズ、なるほど今度家で作ってみるわ」

岡崎ママもおにぎらずを食べながら感嘆の声を上げる。

「ママ、このジャガイモとコーンのお団子も今度作って」

茜が「ほらこれ」と指差しリクエストする。
「作れるかしらぁ？」と岡崎ママは瞳をキラキラさせながらそれを口にする。

「美味しいものは人を笑顔にしますねぇ」

岡崎父がベビー帆立の佃煮を口に入れながら、叔父に同意を求めるように言うと、「俺ももっと旨い料理を作らなきゃな」と叔父はしみじみ答える。

「いやいや、マスターの料理も旨いですよ。食べると、世界各国を巡っているように感じます」

それはそうだろう。リアルに世界を巡ってきたのだから。
< 84 / 198 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop