JUNP!!
制服の乱れを直し、歩き去って
いく葉崇の後ろ姿を、ただ爽悟
は見ていた。


教室ではまだ授業中であり、
突然現れた葉崇に一斉に視線が
集まる。

ちょうど、担任である高杉の
授業であった為、葉崇には都合が
良かった。

カバンを持つと、葉崇は黙って
教室を飛び出した。

「神山!」廊下に出た葉崇を
高杉が呼び止めた。

「何かあったか…?」高杉に背
を向けたまま、葉崇は一瞬だけ足
を止め、首を傾げただけだった。



校門を出ると、退屈そうな2人組
がいた。見慣れた奴ら。

何だか、安心した。

「誠からメール来たからさ。
迎えに来たっ!」ボーイッシュ
で小柄な女、佐々木澪。その隣で
欠伸をしたのは桐谷音緒。

「斗和に会いに行く日な!!」澪
が楽しそうに言った。

「もうすぐ誠も来るからな…」
音緒は言い、携帯を閉じた。



廊下にいた誠はメールを見ると、
退屈そうに欠伸をし、葉崇の分の
早退届と自分の早退届を持って、
職員室へ向かった。

「失礼しまーす」職員室の中を
覗くと、高杉の姿はなく、副担任
である爽悟の姿があった。

「僕、早退します。あと、葉崇の
早退届です」
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