桜の季節、またふたりで
そして、その日の夜。


竣くんが、会社の最寄り駅まで来てくれた。


改札口で待っている竣くんを見ただけで、幸せだった。


「ごめんね、お待たせ」


「ううん、俺もさっき来たとこ」


「どこ行こっか」


「俺、今日車じゃないし、飲みに行こっか。


ほら、美春と飲んだことないだろ」


「じゃあ、この前まどかが連れて行ってくれたお店にしよっか」


「わかった」


竣くんは、スッと自然に、私の右手を握った。


「竣くんは、酔うとどうなるの?」


「眠くなる」


「えー、寝たら動かせないよ」


「美春をおいて寝られるわけないだろ」


お店に着いて、とりあえずビールを注文して、乾杯した。


「俺、美春にはもう会えないんだろうな、って思ってた」


「私だってそうだよ、探偵雇わない限り竣くんを探せないって思ってた」


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