桜の季節、またふたりで
それから、仕事的には何事もなく週末を迎えた。


竣くんからは、毎日電話やメールがきた。


内容は、他愛ないものだったけれど、それだけで安心した。


逆に、カズからは一切何も連絡がなかった。



土曜はいつも掃除しているけど、今日は特に念入りに掃除した。


そして、日曜日。


カズが好きなチーズケーキを買ってきて、コーヒーの準備をしたら、インターホンが鳴った。


画面にはカズが神妙な顔で写っていた。


「はい、どうぞ」


エントランスのオートロックを解除して、部屋のインターホンが鳴るのを、緊張しながら待った。


ピンポーン、と軽やかすぎる音が鳴り、室内のモニターで確認してから鍵を開けた。


「おじゃまします」


「入って」


椅子に座ってもらい、コーヒーを淹れてマグカップを2つ置いた。


湯気だけが、向かい合ったふたりの間をただよっていた。


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