桜の季節、またふたりで
「家庭訪問の何倍も緊張したし、来るのやめようかって何度も悩んだ」


カズは、あらかじめ言おうと思っていたことを吐き出すように話し出した。


「曖昧なままにしておけば、また美春は戻ってきてくれるんじゃないか、なんて淡い期待もあったりしてさ。


でも、美春が望んでいるのは、五十嵐さんとやり直すことだってわかってるし、五十嵐さんも本気なんだってわかったから。


美春、今までありがとう。


今日で、終わりにしよう」


そこまで一気にまくしたてると、カズは落ち着いたのかコーヒーを一口飲んだ。


「カズ、ごめんね」


「謝んなよ」


「カズが支えてくれなかったら、今の私はいなかったはずなのに、そんな大切な人を傷つけて、本当にごめ・・・」


「謝んなくていいから、な?」


泣かないって決めていたのに、涙が一筋こぼれてしまった。


「美春、泣くなって」


「あっ、ケーキあるんだった、持ってくるね」


< 197 / 231 >

この作品をシェア

pagetop