桜の季節、またふたりで
冷蔵庫の前に立った私を、カズは後ろから抱きしめた。


「カズ・・・」


「ごめん美春、これで最後だから」


カズの、華奢だけど力強い腕が私の胸の前にあって。


カズの、いつも優しく笑っていた顔が、すぐ近くにあって。


「俺、美春が初めての彼女だったんだ。


高校の時から、告白してもフラれてばっかでさ。


自信喪失してた時、家庭教師として美春に会って。


一目惚れだったんだ。


だけど、美春には彼氏がいてさ。


また玉砕か、ってあきらめてたんだけど。


彼氏とうまくいってないって聞いてからは、気持ちを押さえるのに必死だった。


とにかく、最低でも美春が合格するまでは待つんだ、って自分に言い聞かせてた。


合格したって知った時は、同じ大学に通えるっていうのも嬉しかったけど、これで美春に気持ちを伝えられるって解放感が嬉しかった」


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