桜の季節、またふたりで
カズが出ていくと、一瞬、本当にこれで良かったのか迷いがあった。


カズを失って改めて、カズの存在感を思い知った。


カズがいたから、私はいろいろ頑張れたんだ。


だから、すぐには竣くんに連絡しないまま、夜になってしまった。


とりこんだままにしてあった洗濯物をたたんでいたら、竣くんから電話がかかってきた。


『美春、なんかあった?』


『あっ竣くん、何もないけど、どうかした?』


『どうかした、じゃないだろ。


俺は、斉藤さんと話が終わるの待ってたんだけど』


『あっごめんね、無事に終わりました』


『ちゃんと納得できたのか?』


『うん、心配かけてごめんね』


『じゃ、もう俺だけの美春ってことだよな』


『・・・うん』


『そっか、じゃあ、これから行ってもいい?』


『うん、待ってる』


『夕飯どうする?』


『うーん、パスタでもよければ用意するよ』


『おっ、俺ちょうどパスタ食いたい気分なんだよな』


竣くんが、ここに来る。


さっきまでカズがいたこの空間に。


少し複雑な気持ちのまま、パスタの準備を始めた。


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