イケメン小説家は世を忍ぶ
「ありがとうございます」

実際、喉が凄く渇いていて、素直にペットボトルを受け取った。

ペットボトルの蓋を開けようとするが、手が滑って開けられない。

うっ、蓋が固い。

「あれ?」

見かねた先生が私の手からペットボトルを奪って蓋を開けると、「ほら」と声をかけながら私に手渡した。

「あっ、ありがとうございます」

もう一度礼を言って水を口に運ぶと、桜井先生は私をじっと見て呟くように言った。

「お前はこんなに非力なのに……怖い目に遭わせて悪かったな」

先生の瞳が暗く陰っているように見えるのは気のせいだろうか?

「先生が沈んだ顔してると、気持ちが悪いんですけど」

わざと刺のある言い方をすると、桜井先生は微かに頬を緩めた。
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