イケメン小説家は世を忍ぶ
すでに緊張でガチガチなのだ。

「これで俺と結婚したって実感したろ?」

ケントは私に顔を近づけて悪戯っぽく笑うと、突然チュッと軽く口付けた。

不意打ちのキスに「あっ」と私が驚くと同時に沿道から「キャー」と歓声が上がる。

こんなたくさんの人にキスを見られるなんて恥ずかしい〜。

私がひとり赤面していると、そんな私を見てケントは面白そうに笑った。

「まだこんなにウブなのに、俺の子を妊娠してるなんて誰も思わないだろうな」

ケントは、手を伸ばして私のお腹に優しく触れる。

その指には、王冠から取って作ったサファイアの指輪が煌めいていた。

竜の伝説は、きっと永遠に続くのだろう。

「……それは、まだ秘密ですよ」
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