俺に彼女ができないのはお前のせいだ!



夜9時。台所ではアリサが洗い物をやってくれている。



水がはねる音をBGMに、ソファーに座りテレビの番組表を見た。


お、今日あの映画やってるじゃん。再々々放送くらいだけどまた見るか。



チャンネルを変えると、



「あ、それあたしも見ようと思ってたんだー。ここで見てっていい?」



洗い物を終えたアリサが、隣に座ってきた。



「別にいいよ」



ミニ丈のワンピースにパーカー。


コンビニに行ける程度の部屋着って感じ。



蛍光灯の光を反射する太ももを見ないようにして、俺は立ち上がった。



「お菓子と飲み物持ってくる。お前コーヒーと紅茶どっちがいい?」


「ありがと。紅茶がいいな」


「わかった。ちょっと待ってて」



そう伝え、俺は台所に向かった。


お湯を沸かし、チョコパイを戸棚から出し、カップの1つにティーパック、もう1つにインスタントコーヒーを入れ、お湯が沸いた瞬間に静かに注ぎ入れる。


さすがカフェ店員の俺。動きに無駄がないぞ!



得意げにお菓子と飲み物をテーブルに置き、アリサの横に再び座った。



すると。



「そういえば、良ちゃんのバイト先、めちゃくちゃ綺麗な人いたねー。しかも仲良さそうだったじゃん」



アリサはとうとうめんどくさい系の話題を出してきやがった。


しかも俺の顔をニヤニヤとのぞきこんでくる。近いわ!


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