俺に彼女ができないのはお前のせいだ!
ってか、イケてる親父の血をひいているのに……
『なんで俺、全然彼女できねーんだろ』
ぼそりとつぶやいてみた。
彼女は欲しい。欲しいはずなのに。
自然に好きだなぁと思えて、付き合いたいと思える女ができない。
エナさんは『好き』とは違った。
どっちかというと憧れ×欲望だったと思う。
『そうだなぁ、お前は考えすぎで、かつ口下手だからなぁ。まずは余計なことを考えずに自分の本当の気持ちを認めろ。そして素直に言葉にしろ。行動しろ』
『んー。よく分かんねー』
『お、そろそろ時間だ。ちゃんと毎日俺の仏壇おがんどけよ。たまにはワンカップじゃない高い酒供えとけよ。じゃあな』
――おい、待てよ!
もっと、いろいろ話したいのに。
親父のこと、もっと知りたかったのに。
俺をよく見てくれていた親父に、もっとアドバイスもらいたかったのに。