俺に彼女ができないのはお前のせいだ!
澄み切った朝の空気に鳥のさえずりが混ざり合っていた。
自転車に鍵をかけているアリサは、昨日と同じ服装、髪型のまま。
いつも通りのつやっつやの長い黒髪は、朝日の光を綺麗に反射している。
「アリサ!」
急いで声をかけると、はっと彼女は俺を見た。
「……っ!」
――バタン!
アリサは逃げるように自分の家に入り、ドアを閉めた。
やっぱり彼氏に何かをされたのか。
昨日出ていく彼女を止めればよかったのか。
分からないままに、俺たちの家を隔てているアスファルトをダッシュで渡った。
「ちょ、お前、大丈夫なの?」
声をぶつけ、ガンガンと閉じられたドアを叩く。
俺、完全に不審者じゃねーか! と思いつつも、
様子がおかしいアリサをほおってはおけなかった。
「アリサー?」
「…………」
「そこいんだろ? 開けろよ」
再び、ドアをガンと一発叩くと、ようやく
「なんもされてないから大丈夫。でも、気持ちの整理したいから1人にさせて……」
と弱々しい声が聞こえた。